うのめたかのめかぼちゃのめ

今までフェイスブックに書いていたものも混ぜたり

美) ミレー展 三菱1号間美術館

晩鐘は無いものの、ミレー作品が25点展示されていました
元々ヌードばかりを描いていたのが、ある時農村風景を描いたら高値がつき、そこから画風を転向した、という話を知っていたので
どうもミレーの絵からは偽善らしさしか感じず、あまり好きではなかったのですが…ほかにもバルビゾン派の絵画などが多いとの話を聞いて、行って来ました。
 
またいつものようにメモをしていたのですが、自分のシャーペンを使うと怒られるのね…驚き
あと今回は、色々勉強した構図についても注目してみました。
 
自画像 ミレー 
、こんなに不安そうな顔をしていたのか!と何故か少し同情を誘います もう一枚、お見合い用にカッコ良く描かれたものも存在するらしいです
 
フォンテーヌブローの森 コロー 
ナポリの浜の思い出を見てからすっかり好きになったコロー!木の描写が本当に細かくて、可愛らしいのです。よく見ると葉のまとまりや雲の形に円が多くて、可愛い秘密が分かりました。そして木で作られるV字、これって構図的にとてもおいしいものらしい。
 
森の小川 クールベ 
近づいてみるとベタ塗りで、コローよりもよっぽど大まかな絵なのになんだこの小川の透明感!
風が吹いて来そう。さすが写実派を名乗るだけあるなあ。
 
森の中の池 ルソー 
語る価値あり!
ああもう、これはすごい。しばらく動けなくなるほど力強い。
逆U字に空いた空間に池が広がって、奥行きが演出されています
森の中を歩いていて、明るい方を見たら池が広がってる!そっち行ってみよか!みたいなワクワク感すら醸し出されています。そしてうまいのは右上の空、これがあることで奥だけでなく上にも世界が広がっているように見える。
試しに右上をさっと手で隠してみると、全然違うもの…
そしてこの風景、多分写真で撮るとただのもりもりしい木々と、池なんだとおもう。これを人々が立ち止まって見入ってしまうような絵に変えるのだから、画家はすごい。
写真があれば写実的な絵はいらないなんて、いんちきだと私は思うのです
 
フォンテーヌブローの森の薪拾い ルソー
秋らしくて好きです
バルビゾン派、写実派、割とサロン第一主義というお硬めな画家であるルソーですが、写実派の中でも空と光まで見事に写生してしまうので大ファンです
 
編み物のお稽古 ミレー
やっとミレーの作品で好きな感じのものがあった!
もうこの時点で目玉の種をまく人も見ているのですが、なぜかぴんとこない。
これは暖かさを感じるので好きです…が、うーんなぜそこまで心を動かされないのかな?
 
牛に水を飲ませる娘 デュプレ
可愛らしい〜。子供と動物を描くと可愛い、というのは昔からなんですね。あとこれは光の当たり方がとても美しくて、印象派を彷彿とさせます
 
終盤、ミレーの作品がどばっと来るのですが…ふんふんという感じでさらっと流してしまいました。なぜだ!?
なんだかとても惜しい気がしたので、「ミレーの名画はなぜこんなに面白いのか」を読んで復習しました。
うーん、私は画風を転向する前のミレーの絵の方が好きです。
特にヴェル・ヴェル なんて本当に上手い!人の表情がとても良い!のに、ミレーが農村画を描くときはあまり顔を書かないのです。
それはなぜかというと、ミレーは田舎の方ではこんなに人々は慎ましく暮らしている、というメッセージをこめているかららしい。抽象的にしてしまうことで、世の中に格差や貧しさについて呼びかけているみたいです。
コレラを避けてバルビゾンに移り、ころっと画風を変えたちゃっかり屋という印象も、少し変わりました。
 
あと、展示はされていないですが春という絵。
ミレーにしてはとても筆致が細かくて、春なのに少し暗い雰囲気、でも黄金色が使われていて華やかで、そこに掛かる虹がうまく絵をまとめているのです。雨上がり。
とても素敵で、色々調べてみたら親友ルソーの追悼として描いた絵だということが分かりました。
高い能力を持っているからこそ、大雑把にも見える田舎の絵を書けるし、真面目だからこそ、親友に向けてのトリビュート作品が心震えるものになる。国立西洋美術館にあるの!?
 
1人の作家について詳しく知ることが出来た、とてもいい展覧会でした〜