美) モネ展 東京都美術館
美) ルーブル美術館展 国立新美術館
美) 風景画の誕生展 Bunkamuraミュージアム
美) ベストオブザベスト展 ブリヂストン美術館
ベストオブザベスト ブリヂストン美術館
数年間も休館してしまうそうで、その前最後の大規模な展覧会です。
今回は美術史でのカテゴリ分けが難しいので時代の流れを追ったりはせずに、気になる絵について予備知識をつけてから行きました。
平日の午前中にいったにも関わらず、かなり混んでいました。
そして美術館の雰囲気的にざわざわしながら周れる雰囲気。
さっそくいきます。
誇らしげな表情や服装、家具などから明らかにお嬢様。
当時の芸術家達のパトロンであるシャルパンティエ家の長女です。
ルノワールはシャルパンティエ夫人とその子供たち という絵で芸術家として成功していくきっかけを作ります 様様といったところ 長女だからジョルジェットちゃんは左下の大きい子かな?
ひざの脇に光が当たっている様子、立体感がものすごいです。ひざのツヤって、若さの象徴な気がします。
あとこの靴下とパンプスのコーディネート、今はやっているやつだなあなんて思いました。
ルノワールの家は仕立て屋だったため、彼自身絵を描くときは人物の衣装にとてもこだわっていたようです
ザオ・ウーキー 07.06.85
これ、かなり衝撃を受けました。え、日にちがタイトル!?という作品。
なんというか眼を奪われる作品です。こわごわと、じっと見つめてしまう。とりあえず生で見て初めて迫力を感じられる作品。
何を描いたのかはよくわからないけれど、私は海底の砂が水で舞い上がる様子かな、と感じました。人によってはオーロラだったり積乱雲だったりという説もあって、自分の小ささを感じます
青と藍と銀でここまではっとさせるのはすごいと思う!
モロー 化粧
わ、色っぽい!!この女性は一体どなた!小さい絵なのになんて妖艶。
とにかく色彩が綺麗で綺麗で、パレットを見ているよう。
宗教画を描くモローですが、これには宗教的な意味がないようです。印象派画家と同時期に活躍しましたが、彼は象徴主義です。ドラクロワに影響を受けたじっとりとした絵を描きます。これはこれでこっくりしていて素敵だ~
ルソー 牧場
なんとも不思議な絵、牛も表情がないし人も何を考えているのか
ちょっとコミカルでかわいらしい作品です。あと人の腕と牛の脚の前後関係が変では?
葉っぱの書き込まれ具合に几帳面さを感じることができます。
モネ 黄昏、ヴェネツィア
お目当て。はあ、綺麗!あったかさを感じます。きっとこれを描いたモネの顔にも同じような光が照っていたんだなあ。構図に特に何の工夫もない、見たままの色を切り取って、載せて、出来た絵画はとっても単純で引き込まれます。
英題がとっても素敵なのです、Twilight Vennice。
モネ アルジャントゥイユの洪水
シスレーはポールマルリーの洪水を描き、モネも。セーヌ川はそんなに溢れやすく、そして画家を魅了していたのか!という感じ。
確かにこのマングローブ林のような非日常は画家をわくわくさせたのかも。
この真ん中ちょい脇に垂直線をガッと入れる構図好きです!!
モネ 睡蓮
ブリヂストン美術館のサイトのスクショでごめんなさい
一つは、いくつも存在する睡蓮の中でもかなり初期のもの。おとなしく、のっぺりした印象。それでも曇った薄紫色を基調としているところは変わっていません。
もう一つはもう少し脂がのってきたころの睡蓮。水の中にこんなに鮮やかなサーモンピンクを乗せることができるなんてやっぱりすごい。
カイユボット ピアノを弾く若い男
カイユボットといえば「床に鉋をかける人々」のように透明感を描くことにおいては右に出る者がいない画家。これも、弟の指、ピアノの表面の照り、黒さ、窓(彼はものすごく窓やカーテンの描写がうまい…!)吹き込むそよ風まできれいに表すことができる。この瞬間のすべてを惜しみなく伝えてくるので、カイユボットの絵は情報量がとっても多い。
ドニ バッカス祭
楽しそうな絵!バッカス=ディオニュソスは、ジュピターとセメレの子。ジュピターの本妻ヘレはやきもち焼きなので、セメレを殺してしまいます。その時に生まれたのがバッカス。バッカスは葡萄酒を産み出し人々に伝授するも、酔っぱらう人々の間に殺し合いが起きてしまい、怒ったバッカスはさらに人を殺す。なにをやってるんだ とりあえずバッカス祭はお酒の楽しさと怖さ、酩酊の神様バッカスを讃えるお祭り。ゴブラン織りのような重厚さと、原色の明るさは見ていてたのしい。ティツィアーノのものとは全く趣が違う!
クレー 島
え〜…。確かにまあ、うーん。いつになったらこういう絵を美しい!と感じるのか。誰にでも書けるわけではないのも分かるけれど。私がらくがきアプリで描いたものも並べてみたんですけどどうでしょうか。
あ、ちなみに上がクレーの作品です。
その他日本人が描いた洋画や彫刻もありましたが、そちらはまだまだ不勉強なのとあまり気持ちが動かされないので、さらりと。
この美術館のコレクターも日本人、感性が似ている部分があるのか、ひとつひとつじっくり見たいと思える作品が多かったかな。あ、あと不意打ちでローランサンの作品がひとつあった!これは嬉しかったな、やっぱりかわいい!そういえばモディリアーニもひとつあった。
こんな感じで、書き出すとキリがないです、楽しかった!
チケットを下さった先生、ありがとうございました(^O^)
美) チューリヒ美術館展 国立新美術館
11月のおわり頃かな、チューリヒ美術館展!
見たまま感じたままを描こうとした印象派から、見たまま感じたままを角度ごとひっくり返して作り上げたキュビズム、なにがどうなってしまったのか深層心理を描こうとしたシュールレアリスム。
<予習>
個人的にちょっと、というかとても苦手なキュビズムとシュールに触れていくのを今回の目的として、予習していきます
割とやばめな画家マティスが、ピカソのアビニヨンの娘たち を見て怒ったというのだから、相当やばい。
そしてピカソとその仲間達は、新印象派の人たちが始めたアンテパンダン展覧会に出展を始めます。
((その後仲間達から抽象絵画、ダダイズムが派生していきます。ダダイズムは芸術に思想をブレンドしたものなのですがこれまたやばい。便器に細工をして泉というタイトルをつけてしまうのだから、もう理解の範疇を超えます))
実際キュビズムがどういう絵かというと、ピカソのような絵ということなのですが、あれはぐねぐね描かれていると見るよりも、しっかりとパーツごとに追いかけるのが良いらしいです。
ピカソと一緒に歩きながらモデルを見る感じ。
2.そしてシュールレアリスム。フロイトの精神分析に基づいた絵画です。ダリやキリコ、マグリット(ちなみに今国立新美術館に行くとマグリット展とルーブル同時に楽しめちゃう!わくわく)。無意識を意識して描く。というスタンスらしいです。それで顔にリンゴがめり込んでいる絵を描けるのだろうか…
3.ナビ派について ヴァロットンが有名。ヴァロットンについては記事を書いていたような
なんとなく赤っぽい木があったら、真っ赤な絵の具をべたーっと塗っていこう!そんな感じで全体を整えていこう!みたいな、点描画の人たちが見たら卒倒してしまうような絵を描きます。
象徴主義は19世紀末のヨーロッパに旋風を起こした文化のムーブメントです。美術界では、ナビ派どころでなく印象派と対立した人たち。見たまま描く事はナンセンスだという意見です。一番有名なのはモローかなあ。一気に神話チックになります。イアソンと、出現という絵が有名。首プカー
セガンティーニは印象派っぽさが少し残った絵を描きます。題材がアルプス周辺なので、ずるいな〜。綺麗に見えるにきまってるな。
ホドラーは、ホドラー展が前にあったのでご存知の方も多いかと思いますがパラレリズムの先駆者です。
似た形を一定の間隔で置いていく彼独特の絵が生まれます。うーん、おとなしくアルプスを描いている方が好きかなあ、私は…
5.ココシュカ
かなり苦手!やっぱりどこかおかしい人の絵は怖い…
ココシュカは惚れた女性の等身大の人形を連れ歩いていたんだって。ひえっ
<実習>
モネ 睡蓮の池、夕暮れ
大!!!6m×2mの迫力!有名な睡蓮とおもむきが違うのは、モネがこのとき殆ど視力を失っているから。見る側も焦点を合わしにくくも、暗くて真ん中が明るい絵は、なんとなくモネの集大成のような木もします。
で、世界地図っぽく見える説も確かに分かる気がします。実際に真ん中のオレンジ色は水で、脇は葉っぱなのだし。
モネ 国会議事堂
二三回は見ているかも。いつ見てもぽっとなります。太陽の上が明るい感じが見事に水面にも写っている。
ゴッホ サント=マリーの白い小屋
地中海に憧れたゴッホの喜びがわかる絵
ムンク ヴァルトマン博士の肖像
真ん中に人という構図は叫びに似ているけれど、なんだこれは全然奇妙じゃないなあ、と思ってしばらく見ていると、やっぱりなんだか不安。
背景の塗られ方にゆがみがあるからなのかなあ…。
ピカソ ギター、グラス、果物鉢
キュビズムど真ん中。ギター、グラス
こう見るの??
セザンヌ サント・ヴィクトワール山
や!かなり有名なこれに出会えるとは。セザンヌはりんごをよく描く構図オタクという感じ。この絵にも構図的にとってもよく考えられた部分がたくさん。パッチワークのようで丁寧に塗られた山と平地は、その部分の重みが計算されているよう。
ココシュカ アデルの肖像
ああ、お人形のモデルになった方の…おそろしや
クレー スーパーチェス
ただのチェックとか言ってしまってはいけないのかな
これかーという感じ。感じるも何も…確かにとっても整ってはいる。
イッテン 出会い
なんだか色彩論の標本のようなものらしいです、とりあえず、とても綺麗。
中心がパステルになっていくんだな〜。
ダリ バラの頭の女
何が言いたいのか、何時なのか、どこなのかという論理的な部分はいっさい排除されている世界。
<復習>
ピカソのわけわからない感じをしっかりと理屈で追いかけられたこと
シュールレアリスムってやっぱり訳分かんないな!と再確認できたこと
それでもダリ(グロくはないやつ)に対する苦手意識が消えたこと
どうしたって理解できない絵もあるなということ(ココシュカなど)
収穫の多いものとなりました。
モネやセザンヌが、私が好きな雰囲気の絵と今回の展覧会をつないでくれていた感じ。私は健全な絵が好きです!
やっぱりモネの国会議事堂が一番かなあ〜。
あ、今回はもちろん噂の楽しいクッキーを買って帰りました。