うのめたかのめかぼちゃのめ

今までフェイスブックに書いていたものも混ぜたり

美) ルーブル美術館展 国立新美術館

 
自分でもちゃんと書いた気になってたけど忘れてた、えーと春ごろいきました。
下の文章、5月の終わりごろ書いてます。
 
まず学んだこと、絶対に会期終了ぎりぎりに行っちゃだめ!
平日の昼間なのに(だから?)激混みでした。一度ゴールデンウィーク中に行ってみたのですがチケット販売の列が長すぎてあきらめ、この日ならいいかなと再挑戦したのに~
人ごみの中から絵を覗き見るような感じで全然落着けないし、順路的にちょっと騒がしい人たちと一緒になってしまったし、超絶不完全燃焼で見終えました。
混雑を避けるには会期前半に行くのがいいのかなあ。
 
とりあえずルーブル展について予習
今回たくさん展示されているのは風俗画。
かしこまった絵ではなく、一般人の何でもないような日常を描いています。
印象派の絵画は光をうまく描けた人が良い画家、でも風俗画においては 何でもないような絵に、いかに深いドラマと教訓を込められるか、が良い画家かどうか評価するポイントになります。
絵の細かい装飾や、画中画(絵の中に描かれる絵)もしっかり見ていかないとこめられたメッセージを受け取ることが出来ません。
きれいだなあうまいなあだけで流してしまってはもったいない、ということで念入りな予習が大切!
 
ひとつひとつ追いかける前に一番の目玉、天文学者を描いたフェルメールについて。
青と黄色の画家というイメージですが実際はどんな人だったのか?
f:id:raninan:20151008131658j:image
割と早くなくなってしまったこともあり、あまりたくさんの作品が残されていません。
15人も子供がいたにも関わらず、描いた絵には全然子どもが登場しない
ウルトラマリンという鉱物を使った絵具を使いすぎて破産
 
というなんとも…な感じですが、とにかくフェルメールは優しくて静かな絵が多いです。そして登場する女性のなんと表情豊かなこと!
いい顔や悪い顔まで、見ていて心地良い。
 f:id:raninan:20151008131801j:image
 
 
人が多すぎてあんまり見られなかったし意外と小さかった。
学者、は当時人気の題材で、モデルはオランダ人科学者レーウェンフック(生物の教科書に載ってた?)

f:id:raninan:20151008131839j:image
天球儀と開かれている本から天文学者だと分かります。
この本が実在していて、タイトルとページまでばれちゃってるんだからすごい。(星の研究と観察第3章第二版)
右のほうにある画中画は「モーセの発見」で、知識と科学の象徴が描かれています。
ちょっとほこりくさそうな、でもきれいな、静かな雰囲気が伝わってきました(前の人の頭と頭の間から)
あと学者が着ている服は日本の文化の影響を受けたガウンだとか。貿易国オランダならでは!
 
 
「両替商とその妻」マセイス
f:id:raninan:20151008131945j:image

左の男性が両替商のお仕事中。手に持った天秤で金貨をはかっています。その右は妻、時祷書(お祈りの本)をめくりかけ、手を止め夫の手元を覗き込んでいます。妻の目線は鋭く、決してなんとなく見ている、ような雰囲気ではなさそう
この絵は2通りの解釈の仕方があるようで
ひとつめ 日常生活を送っていればこんなもんだよ説
お祈りは大切だし神を敬ってはいるけれど、毎日の生活を支える夫の仕事が気になってしまう。やっぱり金品に目をとられてしまう人々の様子を描いているのでは
 
ふたつめ 夫を俗 妻を聖とみる説
妻の開いている書には聖母子が描かれていることと、妻の見張るような目線が無心に金の重さをはかる夫に不正をするなと言っているような…
当初額縁には「汝、正しい天秤、正しいおもりを用いるべし」との記述もあったようで、この説の方が有力?
 
そして机の上にある鏡に映った窓枠。窓枠だけど十字架。窓枠の外には教会の塔が見えます。
もいっちょ、右奥にはおしゃべりを楽しむ人の様子。ここでも聖と俗の対立が見て取れます。
ずるいことをしがち、と言われた両替商の姿から、神様は見ているぞのメッセージを発信する絵です。夫、妻、机でできた三角形の構図もいい!
 
 
「二人の従姉妹」ヴァトー

f:id:raninan:20151008132034j:image

すっごくロココ。右の男女はとっても仲が良さそうで、どうやら男性が女性に指輪を渡しているみたいです。
それだけならあら幸せそう、で済むけれど、手前のこちら側に背を向けた女性。
ほほえましく二人のことを見ているのか、それとも…
見るものによって切ないドラマにしたてるもよし、楽しいものにするもよし。
 
 
「抜歯屋」ホントホルスト
当時抜歯は医療行為ではなかったので、美容師のような人が行ったようです。いやおかしくない?麻酔もせずにペンチで歯を抜くんだから今の時代でよかったなあ。
f:id:raninan:20151008132244j:image

この人も分かりやすい表情で怖がっているし、怖いもの見たさと興味でみんなが寄ってきています。観衆の手をよく見ると、あれ、赤い人!鴨とられてるよ!
おそらく抜歯屋と泥棒がグルで(もしかしたら歯を抜かれる人もグル、との説も。ここまでわざとらしく騒げば観衆の気をひけるし)盗みを働いているようです。
抜歯屋とのタイトルなのに明らかに左の盗みの様子が細かく描かれているのが、やっぱりこっちを描きたかったんだなあという感じ。
 
「象狩り」シャルル

f:id:raninan:20151008132336j:image
え、怒った象ってこんなに怖いの?目を真っ赤にしてガチギレな象の様子は見ていて結構ぞっとします。ちょっと落ち着こうみんな。
たぶんこの画家は象狩りのあまりにも原始的で血なまぐさい様子に驚いて描きたくなったのかなあ。
 
「柵」トロワイヨン
f:id:raninan:20151008132416j:image

動物といったらこの人、トロワイヨン。今回もすっごくカメラ目線の牛の表現がリアルでうまい。トロワイヨンが描く動物は、強い生き物も弱い生き物もみんな目がやさしいから好き!
 
「台所の情景」ドロリング

f:id:raninan:20151008132441j:image
わ~!!いい構図!!真ん中に開けられた窓、向こうの景色、中の生活感、小物…。見ていて飽きない。これなんかの感じに似ているな?って考えた結果やっとわかった、シルバニアだ!!キッチン小物とか完全にシルバニア、絵の中に手を入れて動かしたくなっちゃいました。
 
もっとたくさん書きたいことあった気がしたけど
予習しておくと尚面白いけれど、風俗画は美術に詳しくない人でも楽しめました。表情が豊かで、昔の人も豊かな感情で日々を過ごしていたことがわかります。またどこかで風俗画の展覧会があったらぜひいってみてね(T_T)