うのめたかのめかぼちゃのめ

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美) モネ展 東京都美術館

モネ展 東京都美術館
 
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今回は会期中に書くぞ~!雨の日の平日の午前中、日の出が展示されている間に行ってきました。チケットを買うのに10分待ち、入場に40分待ちという混み方で、どんな展覧会も休日の方がかえってすいている気がしてきた…。
今回のモネ展で見ることが出来る絵画は、普段はパリのマルモッタン美術館に展示されています。モネが風景を描くようになった前の作品から、白内障を患って色をあまり感じられないようになった老年期の作品まで、モネの一生を追いかけるような形で美術館を巡ることが出来ます。

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印象派の展覧会にたくさん行くようになってくると(といってもまだまだだけど)、良くも悪くも割とモネの絵に見慣れてきてしまうから、今回はしっかりじっくり、モネがこの絵を描いたとき何を考えていたのか、気持ちの方に重きを置きながら絵を見ていきました。
では早速!
 
「トルーヴィルの海岸にて」
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どれだけ作家にとってトルーヴィルの浜は描きごたえがあったんだろう。私が初めて見たとき、空の広さと雲のきれいさに衝撃を受けたブーダンの作品も、「トルーヴィルの浜(下)」です。
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後述しますがブーダンのおかげでモネはモネとしての絵画の道を歩むことになります
今回のモネの作品、大胆な海岸の構図に、女性が二人。
ここまで奥行きをアピールする構図はなかなか見ないので新鮮でした。
手前の女性がのちの妻、カミーユです。カミーユはモネと出会ってから、モネと家庭を築き、やがてモネに看取られて病死するまで、彼女の人生のさまざまなタイミングがモネの作品となっています。それがモネなりの愛し方、カミーユなりの愛し方だったのだろうな。
この絵を見ていると、二人の愛情があふれ出てくるようで、とても幸せな気持ちになります。
 
モネは最初から風景を描いたわけではなく、最初はカリカチュア(風刺画)をたくさん書いていました。細かいタッチで描かれたカリカチュアは、似顔絵画家のように、顔のある部分を強調していたり、見ていてとても面白い。
この才能を見初めたブーダンが、外での絵画制作に誘ったのがきっかけで、風景を描くようになったのでした。
(小さい絵に人々が集まりすぎて、あまりよく見られなかった~~)
 
「日の出」

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一つの部屋を使って、この一枚の絵を展示しているという贅の尽くしっぷり。
立ち止まらずに進むけど絵をすぐ近くで見られる列と、少し絵からは離れるけど立ち止まって見られるゾーンの二つに分かれています。
いつも、「これが今回の展覧会の見どころです!!」と言われる絵は、パンフレットなどで見かけすぎて、たいして感動できないのだけど。
これは結構すごかった、日の出の太陽のオレンジ色がまぶしすぎて、なぜか輝きまで再現されていて、目の奥に残像として残るレベルでした。
私は夜型人間なので、日の出を見るときは早起きした時ではなく、徹夜をした時に見るものなのですが あのまぶしさってなんとも言えなくて、徹夜明けの目にしみる感じ笑
まさにそれが絵に描かれていました。
 
あとモネが描く海にほぼ必ず出てくる、日の光の波への反射が今回も描かれていて、やっぱりこれ大好きだなあ~。ただオレンジ、サーモンピンク、白でピッピッと書いているだけなのに、きらめきが動いて見える。素敵だなあ。
写実的に絵を描く時代に、この絵をバーンと出すモネの勇気もすごいなあと思う。確かに私がこの時代の評議委員的な人間だったら、印象派という言葉が生まれるきっかけのように、書きかけかよ!などといってバカにしてしまうのかもしれない…!
 
もうここらへんで、いよいよ混雑に嫌気がさしてきたものの先に進む。
 
「雪の効果、日没」

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モネは睡蓮だけでも、空だけでもない!その一つが雪景色。今までいくつか見ていますが(やっぱり一番はかささぎだと思う)、雪に夕日がさしているこの絵はまた一段と素敵。
日の出 にも現れるピンク色、サーモンオレンジがモネによって雪景色に投射されるとまたガラッと雰囲気が変わって、寒そうだけど暖かい印象に。
 
「白いクレマチス
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モネは睡蓮だけじゃないぞシリーズその二。
こんな柄のワンピースあったら素敵だなあ。
 
「睡蓮」

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もう書くまでもなくなってきたくらいの知名度、モネの睡蓮は今回も大人気です。
こちらとしても鑑賞慣れしてきた部分があって、「斜めから見ると立体的に見えますね~」「縦線で波の揺らぎを表していますね~」とあまりよろしくない鑑賞方法で見てしまいます。
ただ今回は、ジヴェルニーの庭では結局咲かずに、想像だけで描いたという青い睡蓮が描かれた作品があって、それはじっくり見ました。実際の青い睡蓮と比較するとふっくらとしたフォルムで、モネの見ることが出来なかった青い睡蓮へのあこがれが見て取れるようでした。
 
「日本の橋」

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睡蓮を通り過ぎていくと、作品はモネの晩年のものに移っていきます。白内障を患ったモネは、見える限りの力を使って、魂を込めて描いていきます。
もうこの絵に登場する橋は橋ではないし、花は花ではなく、大仰だけどどことなく永遠を感じるような。とにかくエネルギーが高くて、見ていてぎょっとします。
そのような絵ばかりが続く晩年の作品のゾーンは、歩いていてドキドキしました。
 
「しだれ柳」

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この展示方法がすごくいい!私たちもしだれ柳が並ぶ中を歩いているよう。モネは、愛する家族や友人が亡くなるとこの柳のもとで悲しんだらしいです。その孤独や、祈り、自身がそちら側へ近づいていることへの気持ちがうねるように立ち上がってこの絵画は作り上げられているように感じました。
 
 
 
究極のモネ展とうたわれるこの作品展。感想を書いていて、やっぱりもう一度行かないとなと思い始めました。
一生を絵に捧げて、絵を一生に捧げるとこんな仕上がりになるんだ、と見せつけられたようです。今まで○○派を集めた展覧会に行く機会が多かったけれど、こうして人の一生を追いかけつつ見ていく展覧会の方が好きかもしれない。縦横無尽に美術を鑑賞できるって素敵だなあと思います。
最後に登場する田辺誠一画伯のモネも傑作でした。

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