うのめたかのめかぼちゃのめ

今までフェイスブックに書いていたものも混ぜたり

美) モネ展 東京都美術館

モネ展 東京都美術館
 
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今回は会期中に書くぞ~!雨の日の平日の午前中、日の出が展示されている間に行ってきました。チケットを買うのに10分待ち、入場に40分待ちという混み方で、どんな展覧会も休日の方がかえってすいている気がしてきた…。
今回のモネ展で見ることが出来る絵画は、普段はパリのマルモッタン美術館に展示されています。モネが風景を描くようになった前の作品から、白内障を患って色をあまり感じられないようになった老年期の作品まで、モネの一生を追いかけるような形で美術館を巡ることが出来ます。

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印象派の展覧会にたくさん行くようになってくると(といってもまだまだだけど)、良くも悪くも割とモネの絵に見慣れてきてしまうから、今回はしっかりじっくり、モネがこの絵を描いたとき何を考えていたのか、気持ちの方に重きを置きながら絵を見ていきました。
では早速!
 
「トルーヴィルの海岸にて」
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どれだけ作家にとってトルーヴィルの浜は描きごたえがあったんだろう。私が初めて見たとき、空の広さと雲のきれいさに衝撃を受けたブーダンの作品も、「トルーヴィルの浜(下)」です。
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後述しますがブーダンのおかげでモネはモネとしての絵画の道を歩むことになります
今回のモネの作品、大胆な海岸の構図に、女性が二人。
ここまで奥行きをアピールする構図はなかなか見ないので新鮮でした。
手前の女性がのちの妻、カミーユです。カミーユはモネと出会ってから、モネと家庭を築き、やがてモネに看取られて病死するまで、彼女の人生のさまざまなタイミングがモネの作品となっています。それがモネなりの愛し方、カミーユなりの愛し方だったのだろうな。
この絵を見ていると、二人の愛情があふれ出てくるようで、とても幸せな気持ちになります。
 
モネは最初から風景を描いたわけではなく、最初はカリカチュア(風刺画)をたくさん書いていました。細かいタッチで描かれたカリカチュアは、似顔絵画家のように、顔のある部分を強調していたり、見ていてとても面白い。
この才能を見初めたブーダンが、外での絵画制作に誘ったのがきっかけで、風景を描くようになったのでした。
(小さい絵に人々が集まりすぎて、あまりよく見られなかった~~)
 
「日の出」

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一つの部屋を使って、この一枚の絵を展示しているという贅の尽くしっぷり。
立ち止まらずに進むけど絵をすぐ近くで見られる列と、少し絵からは離れるけど立ち止まって見られるゾーンの二つに分かれています。
いつも、「これが今回の展覧会の見どころです!!」と言われる絵は、パンフレットなどで見かけすぎて、たいして感動できないのだけど。
これは結構すごかった、日の出の太陽のオレンジ色がまぶしすぎて、なぜか輝きまで再現されていて、目の奥に残像として残るレベルでした。
私は夜型人間なので、日の出を見るときは早起きした時ではなく、徹夜をした時に見るものなのですが あのまぶしさってなんとも言えなくて、徹夜明けの目にしみる感じ笑
まさにそれが絵に描かれていました。
 
あとモネが描く海にほぼ必ず出てくる、日の光の波への反射が今回も描かれていて、やっぱりこれ大好きだなあ~。ただオレンジ、サーモンピンク、白でピッピッと書いているだけなのに、きらめきが動いて見える。素敵だなあ。
写実的に絵を描く時代に、この絵をバーンと出すモネの勇気もすごいなあと思う。確かに私がこの時代の評議委員的な人間だったら、印象派という言葉が生まれるきっかけのように、書きかけかよ!などといってバカにしてしまうのかもしれない…!
 
もうここらへんで、いよいよ混雑に嫌気がさしてきたものの先に進む。
 
「雪の効果、日没」

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モネは睡蓮だけでも、空だけでもない!その一つが雪景色。今までいくつか見ていますが(やっぱり一番はかささぎだと思う)、雪に夕日がさしているこの絵はまた一段と素敵。
日の出 にも現れるピンク色、サーモンオレンジがモネによって雪景色に投射されるとまたガラッと雰囲気が変わって、寒そうだけど暖かい印象に。
 
「白いクレマチス
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モネは睡蓮だけじゃないぞシリーズその二。
こんな柄のワンピースあったら素敵だなあ。
 
「睡蓮」

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もう書くまでもなくなってきたくらいの知名度、モネの睡蓮は今回も大人気です。
こちらとしても鑑賞慣れしてきた部分があって、「斜めから見ると立体的に見えますね~」「縦線で波の揺らぎを表していますね~」とあまりよろしくない鑑賞方法で見てしまいます。
ただ今回は、ジヴェルニーの庭では結局咲かずに、想像だけで描いたという青い睡蓮が描かれた作品があって、それはじっくり見ました。実際の青い睡蓮と比較するとふっくらとしたフォルムで、モネの見ることが出来なかった青い睡蓮へのあこがれが見て取れるようでした。
 
「日本の橋」

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睡蓮を通り過ぎていくと、作品はモネの晩年のものに移っていきます。白内障を患ったモネは、見える限りの力を使って、魂を込めて描いていきます。
もうこの絵に登場する橋は橋ではないし、花は花ではなく、大仰だけどどことなく永遠を感じるような。とにかくエネルギーが高くて、見ていてぎょっとします。
そのような絵ばかりが続く晩年の作品のゾーンは、歩いていてドキドキしました。
 
「しだれ柳」

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この展示方法がすごくいい!私たちもしだれ柳が並ぶ中を歩いているよう。モネは、愛する家族や友人が亡くなるとこの柳のもとで悲しんだらしいです。その孤独や、祈り、自身がそちら側へ近づいていることへの気持ちがうねるように立ち上がってこの絵画は作り上げられているように感じました。
 
 
 
究極のモネ展とうたわれるこの作品展。感想を書いていて、やっぱりもう一度行かないとなと思い始めました。
一生を絵に捧げて、絵を一生に捧げるとこんな仕上がりになるんだ、と見せつけられたようです。今まで○○派を集めた展覧会に行く機会が多かったけれど、こうして人の一生を追いかけつつ見ていく展覧会の方が好きかもしれない。縦横無尽に美術を鑑賞できるって素敵だなあと思います。
最後に登場する田辺誠一画伯のモネも傑作でした。

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美) ルーブル美術館展 国立新美術館

 
自分でもちゃんと書いた気になってたけど忘れてた、えーと春ごろいきました。
下の文章、5月の終わりごろ書いてます。
 
まず学んだこと、絶対に会期終了ぎりぎりに行っちゃだめ!
平日の昼間なのに(だから?)激混みでした。一度ゴールデンウィーク中に行ってみたのですがチケット販売の列が長すぎてあきらめ、この日ならいいかなと再挑戦したのに~
人ごみの中から絵を覗き見るような感じで全然落着けないし、順路的にちょっと騒がしい人たちと一緒になってしまったし、超絶不完全燃焼で見終えました。
混雑を避けるには会期前半に行くのがいいのかなあ。
 
とりあえずルーブル展について予習
今回たくさん展示されているのは風俗画。
かしこまった絵ではなく、一般人の何でもないような日常を描いています。
印象派の絵画は光をうまく描けた人が良い画家、でも風俗画においては 何でもないような絵に、いかに深いドラマと教訓を込められるか、が良い画家かどうか評価するポイントになります。
絵の細かい装飾や、画中画(絵の中に描かれる絵)もしっかり見ていかないとこめられたメッセージを受け取ることが出来ません。
きれいだなあうまいなあだけで流してしまってはもったいない、ということで念入りな予習が大切!
 
ひとつひとつ追いかける前に一番の目玉、天文学者を描いたフェルメールについて。
青と黄色の画家というイメージですが実際はどんな人だったのか?
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割と早くなくなってしまったこともあり、あまりたくさんの作品が残されていません。
15人も子供がいたにも関わらず、描いた絵には全然子どもが登場しない
ウルトラマリンという鉱物を使った絵具を使いすぎて破産
 
というなんとも…な感じですが、とにかくフェルメールは優しくて静かな絵が多いです。そして登場する女性のなんと表情豊かなこと!
いい顔や悪い顔まで、見ていて心地良い。
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人が多すぎてあんまり見られなかったし意外と小さかった。
学者、は当時人気の題材で、モデルはオランダ人科学者レーウェンフック(生物の教科書に載ってた?)

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天球儀と開かれている本から天文学者だと分かります。
この本が実在していて、タイトルとページまでばれちゃってるんだからすごい。(星の研究と観察第3章第二版)
右のほうにある画中画は「モーセの発見」で、知識と科学の象徴が描かれています。
ちょっとほこりくさそうな、でもきれいな、静かな雰囲気が伝わってきました(前の人の頭と頭の間から)
あと学者が着ている服は日本の文化の影響を受けたガウンだとか。貿易国オランダならでは!
 
 
「両替商とその妻」マセイス
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左の男性が両替商のお仕事中。手に持った天秤で金貨をはかっています。その右は妻、時祷書(お祈りの本)をめくりかけ、手を止め夫の手元を覗き込んでいます。妻の目線は鋭く、決してなんとなく見ている、ような雰囲気ではなさそう
この絵は2通りの解釈の仕方があるようで
ひとつめ 日常生活を送っていればこんなもんだよ説
お祈りは大切だし神を敬ってはいるけれど、毎日の生活を支える夫の仕事が気になってしまう。やっぱり金品に目をとられてしまう人々の様子を描いているのでは
 
ふたつめ 夫を俗 妻を聖とみる説
妻の開いている書には聖母子が描かれていることと、妻の見張るような目線が無心に金の重さをはかる夫に不正をするなと言っているような…
当初額縁には「汝、正しい天秤、正しいおもりを用いるべし」との記述もあったようで、この説の方が有力?
 
そして机の上にある鏡に映った窓枠。窓枠だけど十字架。窓枠の外には教会の塔が見えます。
もいっちょ、右奥にはおしゃべりを楽しむ人の様子。ここでも聖と俗の対立が見て取れます。
ずるいことをしがち、と言われた両替商の姿から、神様は見ているぞのメッセージを発信する絵です。夫、妻、机でできた三角形の構図もいい!
 
 
「二人の従姉妹」ヴァトー

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すっごくロココ。右の男女はとっても仲が良さそうで、どうやら男性が女性に指輪を渡しているみたいです。
それだけならあら幸せそう、で済むけれど、手前のこちら側に背を向けた女性。
ほほえましく二人のことを見ているのか、それとも…
見るものによって切ないドラマにしたてるもよし、楽しいものにするもよし。
 
 
「抜歯屋」ホントホルスト
当時抜歯は医療行為ではなかったので、美容師のような人が行ったようです。いやおかしくない?麻酔もせずにペンチで歯を抜くんだから今の時代でよかったなあ。
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この人も分かりやすい表情で怖がっているし、怖いもの見たさと興味でみんなが寄ってきています。観衆の手をよく見ると、あれ、赤い人!鴨とられてるよ!
おそらく抜歯屋と泥棒がグルで(もしかしたら歯を抜かれる人もグル、との説も。ここまでわざとらしく騒げば観衆の気をひけるし)盗みを働いているようです。
抜歯屋とのタイトルなのに明らかに左の盗みの様子が細かく描かれているのが、やっぱりこっちを描きたかったんだなあという感じ。
 
「象狩り」シャルル

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え、怒った象ってこんなに怖いの?目を真っ赤にしてガチギレな象の様子は見ていて結構ぞっとします。ちょっと落ち着こうみんな。
たぶんこの画家は象狩りのあまりにも原始的で血なまぐさい様子に驚いて描きたくなったのかなあ。
 
「柵」トロワイヨン
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動物といったらこの人、トロワイヨン。今回もすっごくカメラ目線の牛の表現がリアルでうまい。トロワイヨンが描く動物は、強い生き物も弱い生き物もみんな目がやさしいから好き!
 
「台所の情景」ドロリング

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わ~!!いい構図!!真ん中に開けられた窓、向こうの景色、中の生活感、小物…。見ていて飽きない。これなんかの感じに似ているな?って考えた結果やっとわかった、シルバニアだ!!キッチン小物とか完全にシルバニア、絵の中に手を入れて動かしたくなっちゃいました。
 
もっとたくさん書きたいことあった気がしたけど
予習しておくと尚面白いけれど、風俗画は美術に詳しくない人でも楽しめました。表情が豊かで、昔の人も豊かな感情で日々を過ごしていたことがわかります。またどこかで風俗画の展覧会があったらぜひいってみてね(T_T)

美) 風景画の誕生展 Bunkamuraミュージアム

Bunkamura ミュージアム 風景画の誕生展
 
行きたい美術展も行った美術展もたくさんあるしメモもしてあるのに、いざこうやって文章に書き起こすとなるとなかなか…驚いたことに、ルーブル展のも全然書いてなかった!


せめて開催中のものから書いておこう。
風景画の誕生展!
まずはざっと風景画について〜
風景画は17世紀のオランダで誕生し、地位を確立していきました。神話を描くことが第一だったそれまでの絵画で、風景はただの脇役にすぎませんでした。
だんだん神話や聖書といった題材の縛りがなくなってきて、月暦画や時祷書の挿絵に人々の日々の暮らしが描かれるようになると、風景は俄然目立つようになってきます。
それまでは考えられなかったような、風景のみの絵画はこのあたりで登場してくるという流れらしい。風景画、という単語を作ったのはブリューゲル。(でもブリューゲルの作品は今回、ない)
 
70点余りの絵画のを見ていくと、絵の中で、次第に人物以外の面積が増えていく様子がよく分かって面白かった!
フランドル絵画には積極的に触れたことがなかったためなのか、知らない画家の名前が多くて新鮮でした。前にどこかで見たアルノフィーニ夫妻像(下)のせいで、おもしろ怖いという印象だったフランドル派

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いくつか、メモが残っているものについて書き起こしてみる。
 
バスティアーノ・マイナルディ「二人の天使のいる聖母子」
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 聖母子像に関しては、去年のウフィツィ美術館展で割と見飽きているけど、これぞ宗教画の中の風景!窓枠の外の余ったスペースにとりあえず山と建物かいとこ!みたいな。写実主義の絵画と比べるとつたない遠近法が使われている。マリアのくたびれた顔が心配。
 
ヘルマン・サフトレーフェン「船着き場のあるライン川の風景」
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上のものと並べると、すごい画質がアップしたような気持ちになる… 個人的に、雲をきれいに描くことができる画家が大好きなんだということに最近気づきました(ブーダンシスレー、カイユボットとか)
この絵の雲もすごく空の広さと青さを引き立てていて、深呼吸したくなるような澄んだ雰囲気。
 
アールト・ファン・デル・ネール「月明かりの下の船のある川の風景」
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ここらへんはセピア色がはやっているのか、ちょっと昔の映画を見ているような絵画がいくつか。その中でもとても素敵に見えたのがこれ。
やっぱり雲なんだけど、月がぼんやり雲の中にあって、そこから光が漏れている状態をすごーくきれいに描いてある!
 
ヒエロニムス・ボスの模倣者(模倣者!!笑)「楽園図」
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そもそもこれを風景画としていいのかわからないけど、おとなしめのダリっていう印象を持っていたボスの絵もあり、これはオブジェも置いてあったりしてなかなか今回の目玉らしい。
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なんとも不可思議な絵ですが…細かく見て楽しむといった感じかな。素敵な風景
ばかり見てきたし、小休憩。
美術史の突然変異、悪魔のクリエイターとまで言われたボスは、快楽の園という最高につっこみどころばかりな絵を描いていて、これはいつか本物をみてみたい作品。(是非検索してみてほしいです!!)
貝の中から足を出している人をおぶっている人、おしりから鳥が羽ばたかせている人がまた別の鳥に食べられている図、おしりから花がさいている人、おしりにイチゴを乗せて犬神家をやってる人、おしりまる出しの人が入っているイカみたいなものをお神輿みたいに運ぶ人々… おしりばかりに注目しちゃったけど、これどころじゃないシュールさで、この屏風絵の表紙が地球になっているという…。
ボスの考える世の中はこんな感じだったのかな。
 
とりあえず風景画展は、有名画家は少ないけれど、絵画の流れの変化を感じることのできる展覧会でした~。

美) ベストオブザベスト展 ブリヂストン美術館

ベストオブザベスト ブリヂストン美術館

数年間も休館してしまうそうで、その前最後の大規模な展覧会です。

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今回は美術史でのカテゴリ分けが難しいので時代の流れを追ったりはせずに、気になる絵について予備知識をつけてから行きました。

 

平日の午前中にいったにも関わらず、かなり混んでいました。

そして美術館の雰囲気的にざわざわしながら周れる雰囲気。

さっそくいきます。

 

ルノワール すわるジョルジェット・シャルパンティエ

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誇らしげな表情や服装、家具などから明らかにお嬢様。

当時の芸術家達のパトロンであるシャルパンティエ家の長女です。

ルノワールシャルパンティエ夫人とその子供たち という絵で芸術家として成功していくきっかけを作ります 様様といったところ 長女だからジョルジェットちゃんは左下の大きい子かな?

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ひざの脇に光が当たっている様子、立体感がものすごいです。ひざのツヤって、若さの象徴な気がします。

あとこの靴下とパンプスのコーディネート、今はやっているやつだなあなんて思いました。

ルノワールの家は仕立て屋だったため、彼自身絵を描くときは人物の衣装にとてもこだわっていたようです

 

ザオ・ウーキー 07.06.85

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これ、かなり衝撃を受けました。え、日にちがタイトル!?という作品。

なんというか眼を奪われる作品です。こわごわと、じっと見つめてしまう。とりあえず生で見て初めて迫力を感じられる作品。

何を描いたのかはよくわからないけれど、私は海底の砂が水で舞い上がる様子かな、と感じました。人によってはオーロラだったり積乱雲だったりという説もあって、自分の小ささを感じます

青と藍と銀でここまではっとさせるのはすごいと思う!

 

モロー 化粧

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わ、色っぽい!!この女性は一体どなた!小さい絵なのになんて妖艶。

とにかく色彩が綺麗で綺麗で、パレットを見ているよう。

宗教画を描くモローですが、これには宗教的な意味がないようです。印象派画家と同時期に活躍しましたが、彼は象徴主義です。ドラクロワに影響を受けたじっとりとした絵を描きます。これはこれでこっくりしていて素敵だ~

 

ルソー 牧場

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なんとも不思議な絵、牛も表情がないし人も何を考えているのか

ちょっとコミカルでかわいらしい作品です。あと人の腕と牛の脚の前後関係が変では?

葉っぱの書き込まれ具合に几帳面さを感じることができます。

 

モネ 黄昏、ヴェネツィア

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お目当て。はあ、綺麗!あったかさを感じます。きっとこれを描いたモネの顔にも同じような光が照っていたんだなあ。構図に特に何の工夫もない、見たままの色を切り取って、載せて、出来た絵画はとっても単純で引き込まれます。

英題がとっても素敵なのです、Twilight Vennice

 

モネ アルジャントゥイユの洪水

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シスレーはポールマルリーの洪水を描き、モネも。セーヌ川はそんなに溢れやすく、そして画家を魅了していたのか!という感じ。

確かにこのマングローブ林のような非日常は画家をわくわくさせたのかも。

この真ん中ちょい脇に垂直線をガッと入れる構図好きです!!

 

モネ 睡蓮

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ブリヂストン美術館のサイトのスクショでごめんなさい

一つは、いくつも存在する睡蓮の中でもかなり初期のもの。おとなしく、のっぺりした印象。それでも曇った薄紫色を基調としているところは変わっていません。

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もう一つはもう少し脂がのってきたころの睡蓮。水の中にこんなに鮮やかなサーモンピンクを乗せることができるなんてやっぱりすごい。

 

カイユボット ピアノを弾く若い男

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カイユボットといえば「床に鉋をかける人々」のように透明感を描くことにおいては右に出る者がいない画家。これも、弟の指、ピアノの表面の照り、黒さ、窓(彼はものすごく窓やカーテンの描写がうまい…!)吹き込むそよ風まできれいに表すことができる。この瞬間のすべてを惜しみなく伝えてくるので、カイユボットの絵は情報量がとっても多い。

 

ドニ バッカス

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楽しそうな絵!バッカスディオニュソスは、ジュピターとセメレの子。ジュピターの本妻ヘレはやきもち焼きなので、セメレを殺してしまいます。その時に生まれたのがバッカスバッカスは葡萄酒を産み出し人々に伝授するも、酔っぱらう人々の間に殺し合いが起きてしまい、怒ったバッカスはさらに人を殺す。なにをやってるんだ とりあえずバッカス祭はお酒の楽しさと怖さ、酩酊の神様バッカスを讃えるお祭り。ゴブラン織りのような重厚さと、原色の明るさは見ていてたのしい。ティツィアーノのものとは全く趣が違う!

 

クレー 島

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え〜…。確かにまあ、うーん。いつになったらこういう絵を美しい!と感じるのか。誰にでも書けるわけではないのも分かるけれど。私がらくがきアプリで描いたものも並べてみたんですけどどうでしょうか。

あ、ちなみに上がクレーの作品です。

 

その他日本人が描いた洋画や彫刻もありましたが、そちらはまだまだ不勉強なのとあまり気持ちが動かされないので、さらりと。

この美術館のコレクターも日本人、感性が似ている部分があるのか、ひとつひとつじっくり見たいと思える作品が多かったかな。あ、あと不意打ちでローランサンの作品がひとつあった!これは嬉しかったな、やっぱりかわいい!そういえばモディリアーニもひとつあった。

こんな感じで、書き出すとキリがないです、楽しかった!

チケットを下さった先生、ありがとうございました(^O^)


美) チューリヒ美術館展 国立新美術館

11月のおわり頃かな、チューリヒ美術館展!

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セガンティーニ、モネからシュールレアリスムまで。

見たまま感じたままを描こうとした印象派から、見たまま感じたままを角度ごとひっくり返して作り上げたキュビズム、なにがどうなってしまったのか深層心理を描こうとしたシュールレアリスム

 

<予習>

個人的にちょっと、というかとても苦手なキュビズムとシュールに触れていくのを今回の目的として、予習していきます

 

1.まずキュビズム。創始者はピカソです。

割とやばめな画家マティスが、ピカソアビニヨンの娘たち を見て怒ったというのだから、相当やばい。

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そしてピカソとその仲間達は、新印象派の人たちが始めたアンテパンダン展覧会に出展を始めます。

((その後仲間達から抽象絵画ダダイズムが派生していきます。ダダイズムは芸術に思想をブレンドしたものなのですがこれまたやばい。便器に細工をして泉というタイトルをつけてしまうのだから、もう理解の範疇を超えます))

 

実際キュビズムがどういう絵かというと、ピカソのような絵ということなのですが、あれはぐねぐね描かれていると見るよりも、しっかりとパーツごとに追いかけるのが良いらしいです。

ピカソと一緒に歩きながらモデルを見る感じ。

 

2.そしてシュールレアリスムフロイト精神分析に基づいた絵画です。ダリやキリコ、マグリット(ちなみに今国立新美術館に行くとマグリット展とルーブル同時に楽しめちゃう!わくわく)。無意識を意識して描く。というスタンスらしいです。それで顔にリンゴがめり込んでいる絵を描けるのだろうか…

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3.ナビ派について ヴァロットンが有名。ヴァロットンについては記事を書いていたような

ナビ派印象派に反対めの位置にいます。

なんとなく赤っぽい木があったら、真っ赤な絵の具をべたーっと塗っていこう!そんな感じで全体を整えていこう!みたいな、点描画の人たちが見たら卒倒してしまうような絵を描きます。

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4.象徴主義セガンティーニホドラー

象徴主義19世紀末のヨーロッパに旋風を起こした文化のムーブメントです。美術界では、ナビ派どころでなく印象派と対立した人たち。見たまま描く事はナンセンスだという意見です。一番有名なのはモローかなあ。一気に神話チックになります。イアソンと、出現という絵が有名。首プカー

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セガンティーニ印象派っぽさが少し残った絵を描きます。題材がアルプス周辺なので、ずるいな〜。綺麗に見えるにきまってるな。

ホドラーは、ホドラー展が前にあったのでご存知の方も多いかと思いますがパラレリズムの先駆者です。

似た形を一定の間隔で置いていく彼独特の絵が生まれます。うーん、おとなしくアルプスを描いている方が好きかなあ、私は…

 

5.ココシュカ

かなり苦手!やっぱりどこかおかしい人の絵は怖い…

ココシュカは惚れた女性の等身大の人形を連れ歩いていたんだって。ひえっ

 

 

<実習>

 

モネ 睡蓮の池、夕暮れ

大!!!6m×2mの迫力!有名な睡蓮とおもむきが違うのは、モネがこのとき殆ど視力を失っているから。見る側も焦点を合わしにくくも、暗くて真ん中が明るい絵は、なんとなくモネの集大成のような木もします。

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で、世界地図っぽく見える説も確かに分かる気がします。実際に真ん中のオレンジ色は水で、脇は葉っぱなのだし。

 

モネ 国会議事堂

二三回は見ているかも。いつ見てもぽっとなります。太陽の上が明るい感じが見事に水面にも写っている。

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ゴッホ サント=マリーの白い小屋

地中海に憧れたゴッホの喜びがわかる絵

 

ムンク ヴァルトマン博士の肖像

真ん中に人という構図は叫びに似ているけれど、なんだこれは全然奇妙じゃないなあ、と思ってしばらく見ていると、やっぱりなんだか不安。

背景の塗られ方にゆがみがあるからなのかなあ…。

 

ピカソ ギター、グラス、果物鉢

キュビズムど真ん中。ギター、グラス

こう見るの??

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セザンヌ サント・ヴィクトワール山

や!かなり有名なこれに出会えるとは。セザンヌはりんごをよく描く構図オタクという感じ。この絵にも構図的にとってもよく考えられた部分がたくさん。パッチワークのようで丁寧に塗られた山と平地は、その部分の重みが計算されているよう。

 

ココシュカ アデルの肖像

ああ、お人形のモデルになった方の…おそろしや

 

クレー スーパーチェス

ただのチェックとか言ってしまってはいけないのかな

モンドリアン 赤、青、黄のあるコンポジション

これかーという感じ。感じるも何も…確かにとっても整ってはいる。

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イッテン 出会い

なんだか色彩論の標本のようなものらしいです、とりあえず、とても綺麗。

中心がパステルになっていくんだな〜。

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ダリ バラの頭の女

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前にダリを見たときに、本当に不気味で怖くて、あまり近寄りたくなかったのだけど、これはグロくないから、じっくり見ると意外とかわいらしいかも。

何が言いたいのか、何時なのか、どこなのかという論理的な部分はいっさい排除されている世界。

 

<復習>

ピカソのわけわからない感じをしっかりと理屈で追いかけられたこと

シュールレアリスムってやっぱり訳分かんないな!と再確認できたこと

それでもダリ(グロくはないやつ)に対する苦手意識が消えたこと

どうしたって理解できない絵もあるなということ(ココシュカなど)

 

収穫の多いものとなりました。

モネやセザンヌが、私が好きな雰囲気の絵と今回の展覧会をつないでくれていた感じ。私は健全な絵が好きです!

やっぱりモネの国会議事堂が一番かなあ〜。

 あ、今回はもちろん噂の楽しいクッキーを買って帰りました。

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